「エレガンテ・スポルティーヴォ」を体現する高級レザーウェアブランド

1975年、フィレンツェ郊外のヴィンチで創業したレザーウェアブランド「EMMETI（エンメティ）」。コンセプトは“エレガンテ・スポルティーヴォ”。スポーティーでありながらエレガントなスタイルです。レザーとファー、レザーとナイロンなど、異素材の組み合わせによってラグジュアリー感を演出しています。代名詞であるムートンには世界最高峰とされるスペイン産羊皮を採用。羽毛にはポーランド産グースダウンを。ナイロンにはラミンテス社の超軽量素材スーパーライトを採用するなど最高級素材にこだわっています。また、素材のみならず、人間の体躯を熟知したタイト過ぎないスリムフィッティングにも定評があります。

知名度が抜群にあるわけではありませんが、セレクトショップや百貨店を中心に着実に売上げを伸ばしているチェックしておくべきブランドです。なにより素材がよく、デザインがよく、さらには価格が適正。品質と価格のバランスはもちろんフィッティングについても申し分なく、売れっ子ファッションディレクター干場氏をもってしても“50万円前後のビッグメゾンのレザーウェアとの差が分からない”と言わしめるほどです。

限定6着です！大人の余裕を感じる極上カーフのコーチジャケット「TURBONE」

ご紹介するのは、新たにラインナップに加わった「TURBONE（トゥルボネ）」になります。ここ数年エンメティではライダースに人気が集中しており、その他のモデルはそれほど多く出回っていません。当店でもライダースを中心に仕入れていますが、ライダースばかりではつまらないという気持ちもあり、シーズン毎に“これは欲しい！”と感じる新モデルをピックアップするよう心掛けています。22SSの展示会で私がもっとも惹かれたのが、ストリートテイストを取り入れたTURBONEです。

デザインのベースになっているのは、ストリートから派生し、若者の間で流行している「コーチジャケット」になります。その人気は一流ブランドにも飛び火し、グッチやルイ・ヴィトン、モンクレールなども同アイテムを手掛けています。コーチジャケット＝なんだか子供っぽい、ちょっと若すぎる、こんなイメージを持っている方が多いと思いますが、エンメティの手にかかればご覧のとおり。コーチジャケットのシンプルで完成されたデザインはそのままに、圧倒的なオーラを放つ高級レザーを用い、イタリアならではのきれいなシルエットをインプットすることで大人が堂々と着られるハイクラスのコーチジャケットに仕上げています。もともとゆったりした作りのコーチジャケットですが、適度なゆとりを確保しつつもコンパクトな作りに修正することで若者感を払拭しているところが上手いです。通常のコーチジャケットよりも着丈が短く軽やかな印象なのでブルゾン感覚で着回して頂けます。フロントを開けてカットソー上に羽織ってもお洒落ですよ。トレンドのコーチジャケットを大人仕様にアップデートした、他のブランドでは見られないエンメティならではの秀逸モデルです。ライダースの“次”を狙っている方は、こんなハイクラスのコーチジャケットはいかがでしょうか。大人の余裕を感じさせる休日スタイルを存分に楽しんで頂けると思います。

千載一遇（せんざいいちぐう）。読んで字の如く、千年にたった一度しか巡り会えないような素晴らしい機会のことです。今回ご紹介するTURBONEは、千年に一度とまでは言いませんが、それに近いくらい価値のある一着です。昨シーズン発売され、あっという間に完売してしまったエントレフィーノラムに続く数量限定品になります。パンデミックの影響はいまだに尾を引いており、普段は市場に流通しない高級レザーが生産キャンセルになって破格のプライスで流れてくることがあるそうです。エンメティを率いるフランコ氏はタンナーとのコネクションを活かし、これらの高級レザーを優先的に入手しています。

“SP CALF（スペシャルカーフ）”と銘打たれたこちらの革は、平時であればビッグメゾンでなければ手に入れることができない最高品質のフルグレインカーフ（銀付きカーフ）になります。詳しくは後述しますが、床面を丁寧に削ぎ落として薄く仕上げた約0.5ミリの銀付きカーフは、きめが細かくしっとり濡れたような手触りで、レザーとは思えないほど軽くて着やすいことが特徴です。カーフの持ち味である男らしさを引き出したセミマット仕上げですが、繊細な銀面が薄っすら光を反射して鈍い光沢を放ち、カーフでなければ味わえない硬派な色気を漂わせます。着込んで育てるのが実に楽しみな、まさにビッグメゾン品質の極上カーフです。

肝心のお値段ですが、生産キャンセルになって流れてきたレザーということもあり、極上品質であるにもかかわらずアンダー15万円（税込）とお買い求めやすくなっています。もちろん数量限定です。当店での扱いは6着のみとなります。もちろん再入荷はありません。このレベルの革がこの価格で手に入る機会はめったにないと思います。

大人の男の色気を引き出す“艶リッチ”なゴールドパーツ「GOLD」

大人になればなるほど、歳を重ねれば重ねるほど“ゴールド”に惹かれるのは人間の本能というもの。若い頃はまったく興味がなかったグッチのゴールドビットやロレックスのコンビブレスが、ある年齢を境に急に輝いて見えてくるから不思議です。そんなゴールドをさりげなく取り入れたのが「TURBONE GOLD」です。ほんのり色づいたゴールドパーツがラグジュアリーなムードを漂わせ、大人の男の色気と艶を引き出します。シルバーやガンメタリックにはない“艶リッチ”な雰囲気があるので、デニムにレザーというシンプルなスタイルでも俄然お洒落に見えます。濃いゴールドではなく、ほんのり色づいた上品なゴールドなので、さりげなく、気負いなく身に着けられることもポイントです。

日本人の体型に合うタイト過ぎないスリムフィッティング

エンメティは素材だけではありません。日本人の体型に合う細身のフィッティングにも定評があります。同ブランドのエージェントを務めるインテレプレの代表は細身かつ小柄な日本人体型で、その彼がイタリアに赴きサイジングから日本人向けに作り込んでいるので欧米人向けに作られたビッグメゾンのレザーウェアのようにお直しに出す必要がありません。コーチジャケットの持ち味を引き出した程よいゆとりのあるシルエットですが、肩幅、胸幅、どちらも絶妙なゆとり具合になっているので誰が着てもすっきりきれいに見えます。ブルゾン感覚で着回せる計算されたショート丈も素晴らしいです。このサイズ感こそがエンメティの人気を支えているものと思われます。本当によく考えられています。

専業ブランドならではの一切の妥協を許さない作り込み

高度な縫製技術が要求されるレザーガーメントを使っているのに縫製に狂いがなく、テーラードのような立体的で美しい仕上がりになっているあたりは専業ブランドだからこそ。細部のディテールや副資材などの作り込みも抜かりなく、すっきり見える断ち切りの襟羽根、シルエットの変化を楽しめる裾ドローコード、美しい輝きを放つ鏡面仕上げのMYZIP社製ファスナー、型崩れしにくい筒状のリブなど、機能性・審美性が徹底的に追求されています。一切の妥協を許さない作り込みには感心させられます。

硬派な色気を漂わせるセミマット仕上げの極上カーフ「SP CALF」

前述のとおり、こちらの品には某ラグジュアリーブランドの生産キャンセルにより、破格のプライスでエンメティが入手した高級レザー「SP CALF（スペシャルカーフ）」が使用されています。SP CALFにはいくつもの種類があり、生産キャンセルになったタイミングによって革質や加工方法が異なります。このSP CALFは、床面（裏面）にナッパラン加工が施された一枚革としても使えるフルグレインカーフ（銀付きカーフ）になります。TURBONEは裏地無しの一枚革モデルゆえ、この革の持ち味が最大限に活かされています。床面（裏面）が銀面（表面）と同じようにきれいに処理されているので、内側の滑りがよく袖通ししやすく、さらっとしていて肌に触れても心地いいです。

革の厚みは約0.5ミリ。床面を丁寧に削ぎ落とすことで耐久性を損なうことなく驚異的な“軽さ”と“柔らかさ”を実現しています。まず驚かされるのは、カーフとは思えない上品な佇まいです。ラムレザーに比べて男っぽくてワイルドなイメージがあるカーフですが、このレベルの革になると話は別です。びっくりするほどきめが細かく繊細なシボを纏っているので、下手なラムレザーよりも上品な見え方をします。カーフの持ち味である男らしさを引き出したセミマット仕上げですが、野暮ったさや男臭さは微塵もありません。繊細なきめを持つ銀面が薄っすら光を反射して鈍い光沢を放ち、カーフでなければ味わえない硬派な色気を漂わせます。言うまでもなく手触りは最高です。カーフとは思えないくらい柔らかく、もっちりとした弾力があり、しっとり濡れたような感触に誰もが驚くと思います。着れば着るほど味や艶が増してラグジュアリーな質感になっていくので、長く着込んで“自分だけの一着”に育てる楽しみがあります。